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第65回 外科的切除を行った上皮小体癌の19例のイヌについて



外科的切除を行った上皮小体癌の19例のイヌについて(2011)

イヌの上皮小体癌は希であるため治療や予後に関する情報がほとんどありません。この報告では外科的切除を行った19例に関してその結果を報告するものです。

19例の平均年齢は11才で、雌雄差は見られなかった。
臨床症状が現れてから診断されるまでの日数は平均で90日(1-730日)
犬種はゴールデンレトリバーが3例、その他は各1例の純血種か雑種であった。

臨床所見
虚弱/歩様の異常 7例
嗜眠  6例
食欲の低下  5例
多尿  3例
多飲  3例
体重減少   2例
失禁  2例
嘔吐 2例
振戦  2例
下痢 1例
見当識障害  1例
なし(偶発的な高カルシウム血症)  3例
また、ヒトで見られる骨粗鬆症や骨の疼痛の所見は全例で見られなかった。

頚部超音波検査
上皮小体の結節  17例
加えてより小さな上皮小体結節  3例
結節なし     0例
結節の大きさ中央値  7?o(5−25?o) 1例のみが触知可能であった。

胸部レントゲン
転移所見あり 0例、転移所見なし 16例

腹部レントゲン/超音波
結石 5例、腎臓石灰沈着 3例、著変なし 9例

術前術後のカルシウム濃度
・術前カルシウムイオン濃度(mmol L-1,N=18)
中央値 1.83(1.43−2.3)
正常範囲を超えている症例   18/18
正常値を超えている程度   中央値29%(1−59%)

・術後カルシウムイオン濃度
中央値  1.18(0.78−1.83)
正常9例,低カルシウム血症9例、高カルシウム血症1例

・高カルシウム血症が解決するまでの期間
中央値2日(0.5-4日)


術前PTH濃度(mmol L-1,N=15) 
中央値    17.7(147−156) (正常範囲;3−17)

手術方法
上皮小体切除 14例、 上皮小体+甲状腺切除 5例

原発性上皮小体機能亢進症を持つ168例のイヌにおいて、上皮小体結節病変の4−7%を占めていた。高カルシウムもしくはそれに関連した症状が来院理由であった。臨床所見のみでは上皮小体過形成や腺腫と鑑別することはできない。しかしながら上皮小体過形成や腺腫では多飲多尿が最も多い所見であるのに対し、上皮小体癌では虚弱(weakness)であった。
上皮小体の結節は超音波検査によって全例(17/17)で見出された。

18/19において手術後4日以内に高カルシウム血症が解決された。19例中6例がマージン(+)(うち2例は追加切除でマージン(-))であったにもかかわらず、再発を起こした症例はなかった。転移を起こした症例もなかった。上皮小体癌が原因で死亡した症例は1例のみであり、術後9日で手に負えない低カルシウム血症のため、安楽死された。外科的切除は高カルシウム血症の治療や腫瘍のコントロールに対し、有効であった。今回の結果から術後の化学療法や放射線療法の必要性はなさそうである。

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