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第31回 イヌの血管肉腫



イヌの血管肉腫

今回はイヌの血管肉腫に関しての情報です。

1;発生部位、好発犬種
イヌの血管肉腫の最も一般的な原発部位は脾臓です。
その他によく認められる部位として、右心房、皮膚、肝臓などがあります。
好発犬種としては、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ジャーマン・シェパードなどが挙げられます。

パソラボの過去3年間、300件のイヌの脾臓血管肉腫を調査したところ、最も多かった犬種はゴールデン・レトリバーで90件でした。
その他、比較的多かった犬種は以下のようになります。
ラブラドール・レトリバー 34件
ミニチュア・ダックスフント 31件
ミニチュア・シュナウザー 14件
Small Animal Clinical Oncologyで好発犬種として挙げられているジャーマン・シェパードは6件でした。この結果の相違に関して、理由の一つは日本ではジャーマン・シェパードを飼っている家が比較的少ないからではないかと推測しています。

2;挙動、予後
ここでは、主な発生部位である脾臓の血管肉腫に焦点を絞ります。
脾臓の血管肉腫は急速で広範囲にわたる転移がよく見られます。
転移は一般的に血行性か経腹膜播種を介して起こります。
最もよく見られる転移部位としては、肝臓、大網、腸間膜、肺が挙げられます。
また、脳への転移が最も認められる肉腫は血管肉腫であると考えられており、血管肉腫の見られるイヌ85頭を対象とした研究で、12頭(14%)に脳への転移が認められたとあります。

脾臓の血管肉腫の予後は悪く、特に外科手術のみで治療したイヌの生存期間中央値は19日〜86日(独立した5つの研究において)と極めて予後の悪い腫瘍です。
また、12ヶ月生存率は10%以下と報告されています。

3;治療
外科的切除は血管肉腫を発症したほぼ全てのイヌにおける治療法とされています。
しかし、外科的切除のみでは良好な結果が得られないことを考慮し、補助的化学療法を行うことが推奨されています。
化学療法で最も頻繁に使われているものは、ドキソルビシンの単剤もしくはドキソルビシンにシクロフォスファミドやビンクリスチンを併用したプロトコルです。
外科的切除にこれらの術後化学療法を併用すると、生存期間中央値が141〜179日(独立した4つの研究において)まで延びることが報告されています。
ただし、12ヶ月生存率は化学療法を併用しても10%以下とされています。

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