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第56回 Cutaneous Neoplasms in Pet Rabbits: A Retrospective Study



今回は研究所などの実験動物ではなく、愛玩用に飼育されるウサギを対象とした調査です。
皮膚腫瘍の種類、発生数、追跡可能であった症例について述べられています。
ここでの「皮膚腫瘍」とは有毛部皮膚に発生した腫瘤を指し、皮膚-粘膜接合部に発生した腫瘍も含めていますが、乳腺腫瘍は除外されています。

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Cutaneous Neoplasms in Pet Rabbits: A Retrospective Study
Vet Pathol 2007


症例;179匹、190の腫瘍(9匹は同一個体に複数の病変が見られた)

・ウイルス性腫瘍
  ショープ線維腫(19)、ショープ乳頭腫 (2)
・非ウイルス性上皮性腫瘍
  毛芽腫(58)、扁平上皮癌(5)、扁平上皮乳頭腫(4)、毛胞上皮腫(3)、アポクリン腺癌(3)、マイボーム腺腫 (2)、皮脂腺癌(1)
・非ウイルス性間葉系腫瘍
  脂肪腫(10)、脂肪肉腫(3)、粘液肉腫(9)、悪性神経鞘腫(8)、線維肉腫(7)、平滑筋肉腫(4)、平滑筋腫(1)、未分化肉腫(2)、血管肉腫(2)
  横紋筋肉腫(2)、骨外性骨肉腫(1)
・その他の非ウイルス性腫瘍
  悪性メラノーマ (8)、リンパ腫(1)、低分化円形細胞腫瘍(1)
・腫瘍様病変
  コラーゲン過誤腫(26)

追跡可能であった症例は19匹
 扁平上皮癌2羽;①術後数週間で再発、18ヶ月生存し、原因不明で死亡、②術後5カ月生存し、原因不明で死亡
 アポクリン腺癌1匹;再発および肝臓・皮膚転移により13ヶ月後に安楽死
 脂肪肉腫1匹;アドリアマイシンで治療、診断から5ヶ月後死亡。
 悪性神経鞘腫1匹;6週間後に再発、再手術の18週間後に再再発。
 線維肉腫4匹;①4ヶ月後再発により安楽死、②5週間後に再発し7ヶ月生存、③5.5カ月後に再発し9ヶ月生存、
          ④術後2週間で死亡
 平滑筋肉腫2匹;①2週間後に原因不明で死亡、②8週間後に原因不明で死亡
 未分化肉腫2匹;①4週間後再発、再手術後も再発し、最初の手術から7ヶ月後に安楽死、②12週間後に再発、5ヶ月後に原因不明で死亡
 骨肉腫1匹;7ヶ月後再発、再手術後1ヶ月で再発、最初の手術から16ヶ月後に原因不明で死亡
 横紋筋肉腫1匹;1カ月後に皮膚転移を起こす(病理検査なし)
悪性メラノーマ3匹;①2ヶ月後再発し、3.5ヶ月後死亡、②3ヶ月後に原因不明で死亡、③7週間後に安楽死
 低分化円形細胞腫瘍1匹;腫瘍増大のため4週間後に死亡

発生が多かった病変は①毛芽腫(59)、②コラーゲン過誤腫(27)、③ショープ線維腫(19)
間葉系細胞腫瘍(良性、悪性)、間葉細胞の過誤腫は顕著にオスに多く発生していた(n=56、79%)。
特に粘液肉腫9例のうち8例が♂、1例が性別不明。コラーゲン過誤腫26例のうち24例が♂、2例が性別不明。
これらの病変形成に性ホルモンの関与が考えられるが、オスが好発傾向を示すものは間葉系腫瘍に限られており、上皮性腫瘍の発生が多くならない(♂55%)ことの理由については不明。

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・ショープ線維腫、ショープ乳頭腫はウイルス性腫瘍です。ショープ線維腫はRabbit fibroma virus、ショープ乳頭腫はRabbit papilloma virusの感染によるものであり、節足動物により媒介されます。野生のウイルス保有個体が感染源とされています。ショープ線維腫は秋に発生が多く見られ、感染後7-12日で1-複数個の硬い結節を形成します。ショープ乳頭腫は自然に消退することもありますが、扁平上皮癌に進行し転移を起こすこともあるようです。この報告はアメリカのものであり、日本での発生状況については詳しい情報がありません。
・腫瘍によっては症例数が少ないものがあり、また追跡可能であった症例も少数ですが、家庭で飼育されるウサギを対象とした調査としては規模の大きいものといえます。
・ウサギはイヌやネコとは異なり、免疫染色が実施できる症例が限られため、腫瘍の由来が特定できず「未分化肉腫」や「低分化円形細胞腫瘍」という診断名になる場合があります(免疫染色に使用する抗体がウサギ抗体である場合があるため)。

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